Vol.98 ナフサショックは収束したのか?住宅業界の現状と今後の見通し

2026年春、住宅業界を震撼させた「ナフサショック」。

中東情勢の悪化に伴う原油・ナフサ不足により、住宅設備や建築資材の供給網が大きく混乱し、多くの住宅メーカーや工務店が工程変更を余儀なくされました。特にシステムバスの受注停止は業界全体に大きな衝撃を与えました。

受注停止はどうなったのか?

最も大きな影響を受けたのが浴室設備です。

一時はTOTOがシステムバス・ユニットバスの新規受注を停止。LIXILやクリナップなども受注制限や納期未定の対応を実施し、新築住宅の完成時期に影響が出ました。

しかし現在は状況が改善しつつあります。

TOTOは4月下旬から段階的に受注を再開し、6月9日には通常受注と標準納期への復帰を発表しました。LIXILやクリナップも順次受注を再開しており、住宅設備の供給は回復傾向にあります。

そのため、「設備が入らず家が完成できない」という最悪の局面は、ひとまず脱したといえるでしょう。

しかし問題は終わっていない

受注再開のニュースだけを見ると安心してしまいがちですが、現場では別の問題が続いています。

それが「価格上昇」です。

ナフサを原料とする製品は住宅のあらゆる場所で使用されています。

断熱材
塩ビ配管(VU管)
架橋ポリエチレン管
防水材
接着剤
コーキング材
塗料
シンナー
テープ類

など、住宅建築には欠かせない資材ばかりです。

特に塗料やシンナーは大幅な価格改定が行われ、一部商品では30~80%の値上げも報告されています。断熱材メーカー各社も値上げや受注制限を実施しており、高性能住宅ほど影響を受けやすい状況です。

高性能住宅への影響

近年主流となっている

長期優良住宅
断熱等性能等級6以上
耐震等級3

といった高性能住宅では、高性能断熱材や樹脂製品の使用量が多くなります。

そのため、一般住宅以上に資材価格上昇の影響を受けています。

ただし、性能を下げて建築費を抑えるという考え方はおすすめできません。

住宅は建てた後の光熱費や快適性が数十年にわたって家計に影響するため、初期費用だけで判断するのは危険です。

今後の見通し

現時点では設備機器の受注停止は徐々に解消されつつあり、供給網も安定方向へ向かっています。

しかし、

原油価格の高止まり
中東情勢の不透明感
化学原料価格の上昇
物流コストの増加

などの要因から、建築コストそのものは今後もしばらく高い水準が続く可能性があります。

住宅購入を検討している方にとっては、「もう少し待てば安くなるかも」と考えたくなるところですが、現状を見る限り大幅な値下がりを期待する状況ではありません。

むしろ今後は、価格だけではなく「確実に資材を確保できる会社か」「納期管理ができる会社か」が重要な時代になっていくでしょう。

まとめ

ナフサショックによる受注停止のピークは越え、住宅設備メーカー各社は徐々に通常体制へ戻りつつあります。

しかし、住宅業界が抱える課題は「モノがない時代」から「価格が高い時代」へ移行したとも言えます。

これから家づくりを考える方は、単純な価格比較だけではなく、長期的な性能・快適性・ランニングコストまで含めて判断することが大切です。

家は建てた瞬間がゴールではありません。

これから何十年も続く暮らしを支える大切な資産だからこそ、目先の価格だけに惑わされない家づくりをおすすめします。

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